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河谷:そもそもなぜシェルグループで「ダイバーシティ施策」が必要だとの認識がもたれたのですか?
ライハ:ダイバーシティという場合、略語でD&I(Diversity
& Inclusiveness:ダイバーシティと受容性) を使いたいのですが、これはシェルグループの“人の戦略”の重要な柱で、シェルのコアバリュー(企業価値)である
”Integrity”(インテグリティ)”Honesty”(正直)”Respect
for People”(人への尊敬)の「人への尊敬」に連なるものです。
なぜダイバーシティの必要性を感じたかですが、単に「人を尊敬しよう」と言っても、それが何を意味しているかを考えることの出来る概念的な枠組みというものがなければ機能しないからです。組織としてどのような行動が「人を尊敬する」行動なのか、どのような職場の雰囲気が「人を尊敬している」ことになるのか、コンセプトに意味を与えなくてはなりません。キャッチフレーズではなく、もっと深く「それはどういう意味か?」を定義しなくてはならないのです。
グローバル組織には多くのユニークな個人が社員として存在しているし、顧客、サプライヤー、地域社会もある。これらはすべてピープル、人なのです。
河谷:インタビューの目的は、日本人読者に主に言葉の問題から起きる業務遂行や人事管理上のコミュニケーション問題に何らかのヒントを提供しようというものですが、ダイバーシティはその助けになるのでしょうか?
ライハ:そう思います。なぜなら、河谷さんの言われるコミュニケーション問題は、言葉の問題だけではないからです。言語は道具に過ぎません。コミュニケーションの概念を広げれば、意図、態度、共有と学び合いか指示命令か、等々の問題が潜んでいます。考え方を広げて、D&Iのいうコンセプトによって、言葉の問題を超越した発想をすべきだと思います。言葉のバリアは共通語を話そうという相当の努力をしなくては避けられませんが、コミュニケーション・バリアは同じ言語を話す人々の中でも起こります。
ですから、言葉が障害の一部分だったとしても、相手は自分とは違う発想をしていて当然だという認識があれば、まず相手を理解しようと努力するようになります。不確かな時には、自分に都合のいい意味に決め付けないで質問するという態度が重要ではないでしょうか。全く自分勝手な誤解かもしれないわけですから。
リークワンユー上級相(シンガポール)は「日本人は賢くて英語を読み書きはできるが恥ずがしがって話そうとしない」と言っています。日本人の英語問題は大変でしょうが、自分で障害を取り除かなければ誰も日本人を助けることはできません。
誰かと考えを共有しようとか、周囲に何らかの影響を与えようとするなら、英語でのコミュニケーションの必要性からエスケープすることは不可能だと思います。
河谷:なるほど。アジアのマネージャーに「日本人上司に異文化スキルと英語力のいずれを上達して欲しいですか?」と聞くと、8割は(言語以外の意思伝達の技術と態度という意味の)異文化スキルと答えます。
ライハ:その例は言葉以前に態度が重要だと言う証拠ではないでしょうか。日本人以外にも英語が下手な人はいますよ。南米の人間なんかはそれでも楽しんでますよ。笑って踊って歌っています。日本人よりもっとリラックスしている。日本人はシリアスですね。それとアジアの日本人と現地人の関係はボスー部下の関係なので、すでに一定のパワーギャップがありますから…..
河谷:日本人の方から下に下りて行って、コミュニケートする意思があるところを見せなければいけない?
ライハ:その通りですよ。”Inclusiveness”(受け入れること)のコンセプトが大変重要になってきます。
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